時事ネタ

テレビで報道されないTPP問題

tpp

こんにちは椎木です。

連日テレビでも報道され、世間の注目を集めているのがTPP関連法案についての動向です。

審議時間の確保が難しいとして秋の国会以降に審議が持ち越されましたが、秘密交渉という性質上、TPPの中身については不明な点も多く、テレビでもその一部しか内容が報道されていません。しかし、TPPの目的はテレビで報道されている内容以外の部分にあるとの意見も根強いです。

いったいTPPの目指すものとは何なのでしょうか?

テレビで報道されている内容

TPPについて、テレビで報道されているのは主に次のような内容です。
TPPによって関税が撤廃され、農作物の輸入が激増し、国内農業は深刻な打撃を受ける。
その一方で、関税撤廃により日本からの輸出が増えるため、輸出系企業の業績が大きく伸び、雇用が生まれる。

この他にも医療や食の安全性などについて触れる報道もあります。
これらの内容は間違いではありませんが、TPPの核心とは言いがたいものです。
TPPの本当の目的は別にあり、テレビで報道される内容は、その目的が達成された結果の一部でしかありません。

では、TPPの核心部分、真の目的とは何なのでしょうか?

TPPで求められるのは非関税障壁の撤廃

テレビでは関税の撤廃がTPPの目的のように語られていますが、TPPの本当の目的は非関税障壁の撤廃です。

非関税障壁とは、関税以外の人、モノ、サービスの輸出を妨げるもの、具体的には法律による規制や補助金などによる国内産業の保護が挙げられます。
これらは関税ではありませんが、相手国からの輸入を実質的に妨げるはたらきをします。そのため、非関税障壁と呼ばれています。
TPPの目的は、この非関税障壁を取り払って、人、モノ、サービスの移動を自由に行えるようにしようというものなのです。

撤廃の対象になる非関税障壁とは?

TPPが目指すものが実現すれば、輸出は伸び、輸入品はより安くなる、と良いことずくめのようにも思えます。
しかし、実際には深刻なデメリットが生じる可能性もあります。
それは、非関税障壁の対象とされるものの範囲が極めて広く、我々の生活にも大きな影響を与えるかもしれないからです。

非関税障壁とされる可能性のあるものは以下の通りです。

農業について

日本では遺伝子組み換え作物の表示が義務付けられています。
しかし、アメリカではこれらは義務どころか農作物の販売を妨げる障害だと考えられており、表示自体が禁止されています。
これを日本にも持ち込もうとする主張がありましたが、交渉の過程でアメリカはこれを引っ込めました。
他にもっと達成したい目的があり、そのために折れたと考えられています。

自動車関連

日本では厳格な車検制度があり、交通の安全が強い規制によって守られています。
保守点検や整備にお金のかかる輸入車にとって、この車検制度は非関税障壁であり、制度の見直しを求められる可能性があります。
また、日本では大きなシェアを占める軽自動車への税制優遇も非関税障壁です。
軽自動車を作る技術がないアメリカにとって、この税制は障壁でしかありません。
軽自動車も普通車と同じ税金になってしまう可能性もあるのです。

国民皆保険制度

TPPの隠れたポイントとして指摘されることの多いのが国民皆保険制度です。
日本では、国が認めた治療についてその費用の大部分を国が負担してくれます。

一方で、日本の国が認めていないアメリカなどの最先端治療は保険の適用がなく、費用の面で不利になります。これも非関税障壁というわけです。
ただ、TPPの内容には現在のところ、この国民皆保険に手をつけるという内容は見当たりません。
人の命に直結する国民皆保険の撤廃を狙って反発を買うよりも、まずは、製薬会社を中心に、薬の日本への輸出を地道に増やすべきだという判断なのかもしれません。
さて、TPP最大の狙いと言われているのが政府調達、及び公共事業です。現在これらの規模は年間200兆円。
その多くが日本国内の企業に発注され、景気浮揚対策としても重要視されています。

TPPではこれらの政府調達、公共事業を海外に全て開放し、平等に扱うことを求められます。
具体的には政府調達、公共事業の内容をすべて英文で公表し、インターネットで募集を行うことを義務付けるといった内容です。
もちろん選定も公平に行わなければなりません。
これは海外、特にアメリカの企業にとっては宝の山といえるでしょう。

もしそれに違反するとどうなるのか

これら非関税障壁の撤廃だけでも相当の影響があるのですが、本題はここからです。
もし、非関税障壁の撤廃が行われなかったり、不十分であったりすればどうなるのでしょうか。

きちんと非関税障壁の撤廃を行うには、それに違反した場合の罰が必要です。
そのために、TPPにはISD条項という項目が含まれています。
むしろ、このISD条項に関する内容がTPP交渉のほとんどを占めており、そのほかの農業や関税に関する話はごく一部に過ぎません。

ISD条項とは、企業が相手国への投資を行い、もし非関税障壁による不利益を受けたときは訴訟を提起できるという条項です。
訴訟はワシントンのICSID(投資紛争解決国際センター)で行われますが、これはアメリカが実質支配する世界銀行の下部組織であり、アメリカ側がほぼ勝つと言われています。

TPPに参加するということは、このISD条項によって、アメリカという国の論理を日本も受け入れざるを得なくなるということなのです。

ISD条項によって国や自治体が破産する!?

さらに問題なのは、この訴訟のコストが極めて大きくなるということです。
このISD条項を活用できるのは外国でサービスを展開できるグローバル企業、つまり損失も極めて大きく、賠償金が数百億円に達することも珍しくありません。
訴訟だけで年間数億円の費用がかかるうえ、公共事業などもすべて英文化して公表しなければいけません。
もちろん、交渉は英語が必須です。

このコストは国はともかく、財政難にあえぐ地方自治体にとっては致命的になりかねません。
条例などを狙い撃ちにされた場合、訴訟費用と賠償金で自治体が破産してしまう可能性もあるのです。

おわりに

いくらアメリカ有利の判決が出るとはいえ、あまりに理不尽な判決が出るわけではありません。
アメリカの企業であっても言いがかり的な訴え方をした企業が負けた例はあります。

ただ、アメリカの企業はアメリカの論理に忠実に従って動き、訴訟でもそれを追求してきます。
アメリカの法廷でそれを争う以上、日本側の論理が通用することはありません。
アメリカは基本的にできるだけ規制を少なくすべきという考え方、それに対して日本は規制を強めにしても安全を重視するという考え方です。

TPPに参加するということは、これまでの日本的な考え方を捨て、アメリカの論理のなかで生きていくということを選択することです。
テレビで報道されているような、関税や農業分野のみの話ではないことを意識しておかねばならないのです。

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